楽しい食事が終わるといよいよお待ちかねのマッサージだ。一緒に行くのはフランクとオーエンだけだった。あとの二人はここに残っていると言うので、私たち4人と案内役のビットでトゥク・トゥク(三輪タクシー)に乗って出かけることになった。
しかしどう見ても車は一台しかない。一体どうするのかと様子を窺っていると、まず男たち3人を座席に座らせてから、夫に膝を開いてその前に私を座らせるよう指示する。ビット自身は運転席の左側のわずかな空間にしゃがみ込んだ。こんな小さな車で「よくやるよ」という光景だ。それでも車のエンジンは唸りを上げて突き進み何とか無事にたどり着くことができた。ただ曲がり角ではいつひっくり返るかとヒヤヒヤものだった。
到着したところは町外れのネオンがきらきらしているマッサージ・パーラーだった。一階にカラオケ・バーがあり、マッサージ室は二階にあるらしい。フロントで一時間200バーツ(約700円)の料金を前払いし、案内役のビットに別れを告げて私たちは二階に上がっていった。
二階には入り口にカーテンを吊した広い部屋が両側にずらりと並んでいる。私たち夫婦は右手の部屋に、彼ら二人は少し奥の左手の部屋に案内された。部屋に用意されたパジャマのような上着とズボンに着替えるように言われてさっそく着替えたのだが、このズボンというのが私が二人分入りそうなだぶだぶサイズである。
仕方なく両脇を持って前で縛ってからちょっとトイレに行こうと外に出ると、フランクが廊下で何やら叫んでいる。「(日本語に要約すると)このズボン一体どうなっているんだよう。こんなにだぶだぶじゃ脱げちゃうよう」と前を持って飛び跳ねている。「こうやって縛れば良いのよ」と教えてやると「なんだ、そうか。OK、OK」と納得してくれた。
部屋に戻ると早速マッサージ開始だ。マッサージは足のつま先から揉み始めて次第に上の方に移動してくる。歩き疲れているのでふくらはぎは少々痛かったが、それ以外はとっても気持ちが良くてついよだれが出そうになる。全部が終わる頃にはそのまま眠りたい位安らかな気分になっていた。これはやみつきになりそうだ。
1時間では少々物足りないような気分なので延長したかったが、後日改めて別の店に行くことにした。この店はエアコンや諸設備が整っているためか普通の店のちょうど倍の料金なので、もっと安い店で長時間やってもらった方が良いと思ったのである。