帰りの車中では、最初の頃こそロック・ミュージシャンのうわさ話やミック・ジャガーのまねなどしてみんなで盛り上がっていたが、長時間のドライブにはさすがのおしゃべりさんたちも疲れてきたのか次第に無口になってきた。一番おしゃべりなイギリス人の双子君たちもとうとういねむりを始めた。
山中で泥道脱出に凄腕を発揮していたドライバー氏は、平地に出ると今度は飛ばし屋となって前の車をごぼう抜きして突っ走った。それでもシャンの村から町まで帰るのに4時間もかかった。随分遠方まで行ったものである。
ダレット・レストランでグループは解散となったが、私たちはシャワーを浴びてからもう一度レストランに戻って来ることにした。マッサージ・パーラーでタイ式マッサージを体験するため、ビットに案内してもらう約束をしたからだ。
レストランにはフランス人のフランクとイギリス人のオーエンとジェームス、それにニュージーランドのトーレンがすでに来ていた。私たちのオーダーがすむと、オーエンはみんなにはしを持ってきて配ってくれた。しかしオムライスを食べるのにわざわざはしを使わなくても良さそうなものを、と私たちはこっそり笑ってしまった。もちろん本人たちは大まじめであり、器用にはしを使っているのだけれど・・・。