商談

    ラフー族の村の畑と犬
    ラフー族の村の畑と犬

食事が済むと待ってましたとばかりに女たちがゾロゾロやってきた。風呂敷のような布に自作のアクセサリーなどをどっさりと広げ、私たちに向かってさあ買ってちょうだいと言わんばかりである。

 

私は頭に汗をかくたちなのでヘアー・バンドを買う気になったのだが、気に入った色の物はサイズが合わない。太く編んである部分が長過ぎて、細く紐になっている部分と縛る位置が合わないのだ。この色でこのサイズの物がないかと聞くとここにあるだけだと言う。もちろん身振り手振りの会話である。しばらくああだこうだというやり取りの後で私は商談を開始した。

 

彼女の売値30バーツだと言うので、私は希望の物がないのだから20バーツに負けろと迫る。しかし彼女は頑として譲らない。そこで私は作戦を変えることにした。先ほどのトーレンの交渉を見た限りでは強気の駆け引きはどうも通用しない様子だったからだ。私はちょっと甘えた仕草で擦り寄って「ねえねえ20バーツでいいでしょ。ね、お願いよ。ツンツン」といった調子でソフトに迫ったのだ。この方法は見事成功した。絶対に負けてくれないと言い張っていた彼女がついに折れたのだ。

 

隣で見ていたトーレンは驚いた様子である。なんだか訳の分からない交渉の仕方であるからだ。これはモンゴリアン方式なのさと私は勝手に命名して、思わずにんまりしたのである。

 

 

14 初体験のいかだ下り