ニュージーランドこぼれ話

ホーストレッキング初体験

ホーストレッキングへ
ホーストレッキングへ

翌日は、クィーンズ・タウンの中心であるモールに出かけていって、観光案内所でホース・トレッキングを申し込んだ。とにかく景色の良いところをゆったりと馬に跨がって歩いて見たかったのだ。

 

指定された1:30に観光案内所の前で待っていると、カウボーイハットのおじさんが車で迎えに来てくれた。なだらかな山道を15分位走って馬小屋に到着、そこでジェーンという女性にバトンタッチして彼女の案内で馬に乗ることとなった。

 

乗馬経験を聞かれたが、私は一度だけで夫は初めて、しかし簡単な指導だけですぐ出発となった。こういうところが日本とちがって大まかで、とっても気に入った。

最初はなかなか人馬一体とならない。私を乗せたチャーリーはおなかが空いているようで、すぐ立ち止まっては草を食べ始める。ジェーンが「キック!キック!」と叫ぶが少しキックした程度では歩かない。今度は少し強くキックしてみたら突然走り出し、私は本能的に両足で彼の胴体を締め付けた。手綱を引いて止まってしまったら、おもしろくないと思ったからだ。

 

しばらく歩くうちにチャーリーと私の息が合って、素直に手綱に従うようになってきた。ところが彼はどうしてもおいしそうな草が気になって仕方ないようなのだ。立ち止まるとキックされるので、歩調を乱さずに通りすがりの草を素早くパクッとむしるようになった。そのうちカツンと空振りをしてしまい、悔しそうに振り向く様が、気の毒でもありおかしくもありといった感じで、私は馬上でクスクス笑ってしまった。

ショットオーバー川の砂金取り
ショットオーバー川の砂金取り

すぐそばのショットオーバー川では、ジェット・ボートに乗った人達が喚声をあげて通り過ぎていく。川沿いの広々とした草原を歩くのは本当に気持ち良い。子供の頃からずっと、ぜひこんな馬上の散歩をしてみたいと夢見ていたものだ。 馬小屋にもどった私たちは、コーヒーとクッキーを御馳走になりながらジェーンとのおしゃべりに花が咲いた。

 

東京から来たこと、二人とも職業を斡旋する仕事をしていることなどを話すと「東京ではパートタイムの時給はどれくらいなの?」という質問を受けた。「地域によっても職種によっても異なるけれど、ニュージーランド・ドルで大体10ドルから25ドルくらいまでかなあ。」と答えると、「クィーンズ・タウンでは7~10ドルくらいだけれど、日本語が話せると観光客相手の仕事があるから10ドルはもらえるの。でもやっぱり日本は賃金が高いのね。」と彼女はうらやましそうに言った。

 

しかし私は、どちらが良いとは一概に言い切れないと思った。何しろ彼女は広大な土地を持ち、馬を5頭も飼い、にわとりもたくさん飼っているからだ。「一昨日、6羽のひなが生まれてとっても可愛いのよ。」とにっこりしていた彼女の方が、本当の豊かさを手にしているように思えた。

 

ジェーンはもともと旅行会社で働いていたとのことで、結婚を機に今の仕事を始めたようだ。彼女の父は広大な牧場を所有し鹿の飼育をしているという。鹿の飼育なんて一体どんなビジネスになるのだろうと不思議に思っていたら、鹿の角には精力剤のもとが含まれていて、それが結構いい商売になるらしい。 やはり接客業で培われたものかジェーンとの会話は興味深く楽しいものだった。カタコト英語の私たちに辛抱強く付き合ってくれてありがとう。

 

※帰国後、出発前に買っていたガイドブックを眺めていたら、なんと表紙の写真に彼女が写っていた。持参していたら、彼女に見せてあげたのに・・・

 

ニュージーランドのトイレ