「ホテルの予約をしたいんですが…」と、つたない英語で切り出した夫と私を交互に見ながら、担当の女性は料金の高そうなホテル名を早口で次々に並べたてた。
ここはクィーンズタウンの空港内にある観光案内所。目の前で私たちに応対しているのはいかにもニュージーランド人そのものといった雰囲気の、紅い頬をした若い女性だ。しかし、早口でなまりが強い上に、おまけに私たちの英語力の無さが相俟ってなかなか希望どおりの料金と立地のホテルが提示されない。 日本人は大抵高いホテルに泊まるものと思い込んでいるようだ。
「もっと安いところは?」と言うと、不思議そうな顔をしながら、横の棚にずらりと並んだパンフレットを次々に指差してくれた。日本出発前におおよそ見当をつけていたので、そのなかからレイクランドホテルを選び出したところ、「料金は120ドルだけど、今ならディスカウント・シーズンなので79ドル(約6000円)でOK」とのこと。即座にそのホテルに2泊することに決めた。
運の良いことに、空港からホテルまでちょうど帰宅する彼女の車で送ってもらうことができた。
そのホテルはクィーンズタウンの中心からワカティプ湖沿いに歩いて約10分の所にある。散歩するのにはやはり湖畔がいいなと思って出発前にいくつかのホテルをリストアップしておいたのがここで役立った。
日本を出発したのが10月26日の夜7時、シンガポールを経由(一泊)してクライストチャーチからニュージーランドに入国、そこでもう一泊して、ようやくクィーンズタウンに到着したのが10月29日の夕方4時過ぎだった。
今回の目的地テ・アナウにあと一歩というところまで近づいたためか、ここで初めてほっとした気分に浸ることができた。